超望遠ズーム テストレポート

超望遠ズーム 8000SA 420〜800mm 超望遠ズーム VARI60SA570〜1000mm
超望遠ズーム VARI60SA570〜1000mm

超望遠は「高額でとても入手できない」、「値段につられて買ったが暗いし写りは悪くて とても使え無い」というイメージがつきまとう。
超望遠ズームはデジタル一眼レフではどのような写りをするのだろうか。
「超望遠ズーム」はてどこのメーカー?と思われるただろうがれっきとした日本製で 製造元はあのスリービーチ
輸出がメインなこともあって国内ではあまり知られていないが、けっこう歴史は古く1960年代頃から 天体望遠鏡や望遠レンズを低価格で一貫して作り続けている職人気質なメーカーである。
人件費高騰や円高で国内での生産や苦労も多いと思われるが、品質管理や仕上がりが期待できそうだ。
さて今回テストする
超望遠ズーム 8000SA 420〜800mm
超望遠ズーム VARI60SA570〜1000mmだが
電気接点を持たないマニュアルフォーカスズームが 最近のデジタル一眼レフと組み合わせて、どの程度の写りが可能なのか実用性はどうなのか調べてみた。
まずレンズ構成だかスペック表をみるとともにセミアポクロマート2群4枚となっている。 一般的な写真用ズームレンズと比較するときわめて少ないレンズ構成だ。
またスペックの実行F値が換算値より明るいのは構成枚数が少なく レンズ面ごとの反射や光のロスが最小限で済むという利点によるものらしい。
実際コーティングを見ると後ろ玉にもマルチコートされているようで 素子面からの乱反射にも効果はありそうだ。
絞りも無い。 まあ明るさがF8から13くらいなので小絞りで発生する回折による画質低下を考えたせいなのか、 確か以前のモデルにはあったがようだが割り切ったのだろう。
さて箱から取り出してみるととにかく細くて軽い。 作りは金属性でヘリコイドやズーム、各部の操作性もよく精度も高そうである。 携行性はとても良い。
標準レンズ50mm相当撮影
画像クリックで拡大サイズ1280×853になります。
超望遠ズーム8000SA420〜800mm 約500mm
遠く離れた鉄塔が近くに見えます。
 画像クリックで拡大サイズ1280×853になります。

今回の撮影カメラはEOS5Dと30DにEOS用Tマウントを装着してカメラに取り付けた。 Tマウントは交換ネジ込み式になっていてニコンやソニーα、ペンタックス、フォーサーズと幅広く取り付け可能だ。 そのほかにM42マウント、キヤノンFDやミノルタMD、Cマウントなども市販されており 使い回しができるのも便利である。
また、ミラーレス一眼のパナソニック、オリンパス(マイクロフォーサーズ)NEX(ソニー)用のマウントも新たに 用意された。

望遠撮影で注意しなければならないのはブレ、ボケだがそれ以外に大気の状態が重要な条件になる。 厚い大気の層を通して被写体を写すので間にあるチリやホコリ、水蒸気が 邪魔をしてコントラストの低いなんとなくしまりの無い描写になってしまう。 また大気が熱せられることによる空気の揺らぎ、陽炎も描写低下の原因となる。
被写体が波状にゆらゆらとゆがんで見えたら陽炎の影響が大きい。
遠方のものを撮影するなら空気の澄んだ季節、時間帯を狙うとより良い。

遠くの山の上に立つ送電線の鉄塔に向けてカメラとレンズをセットする。 比較用に50mmレンズで撮影。そしてレンズを超望遠ズームに交換する。
ファインダーを覗くとはるかかなたの鉄塔が目の前に見える。
ファインダーも思ったより暗くならずピントあわせも十分可能だ。
超望遠ズーム VARI60SA570〜1000mmは三脚座があり固定しやすい。
超望遠ズーム 8000SA 420〜800mmは軽量ハンドリング優先のためか三脚座が無いので 三脚につけたときの重心バランスはやや心もとない。
ズームにストッパーネジがついてるのでこれをしっかり固定すれば遊びもなくなり、 また角度のある撮影でもズーム位置が勝手にずれたりするのを防止できる。
実写結果
どちらのレンズも似たような描写傾向だ。
中心部の解像は高い。色収差がでるものの等倍でみても実用性十分だ。 値段からは予想できない写りである。
さすがに周辺は像面湾曲などの収差の影響かややピントが甘い。紫の色収差も出る。
周辺までしっかり解像させるような撮影方法にはあまり向かないが 66%まで縮小するとさほど気にならない。
カラーバランスは変な色の偏りも無い。構成枚数の少なさが功を奏しているのか 大気の影響を考慮しても画像のヌケ、コントラストは良い。
また、パープルフリンジ(紫の色収差)は補正ソフトである程度軽減できるので 有効利用すれば不満は少なくなるだろう。
VARI60SA570〜1000mmの1000mm域は四隅にケラレが少し出る。
(イメージサークル切れ?) フルサイズ素子では周辺がやや気になるがAPS-Cサイズ素子の30Dなら気にならない。

テレコン

焦点距離を伸ばせる2倍テレコン付きモデルも用意されている。 画質の低下や露出倍数を考えると使い方はどうしても限定されるが 日の出や夕陽などの撮影には効果を発揮する。
月の撮影を行ってみた。 2倍テレコンをつけズームすると画面から月がはみ出すほど拡大する。動いているのがよくわかる。 F値も大きくなりファインダーは暗くなるので撮影は慎重に行わないとボケたりブレやすい。

まとめ
銀塩の頃はフィルム感度も低く超望遠撮影はなにかと敷居が高かったが デジタルになって高感度での撮影も容易になった。 また、その場でモニターチェックすることによりブレ、ボケの様子や大気のゆらぎの影響が 把握しやすくなり撮影が容易に行える。
軽量で持ち運びも楽、そして手持ち撮影も十分可能だ。 APS-Cやフォーサーズにつけることにより1.5倍〜2倍相当の換算焦点距離になるというのも利点。
超望遠ズームはTマウント交換式なのでカメラシステムを変えたり、 複数メーカーボディを併用しても使い続けることができるという点でもこれまた経済的だ。
注)
ナシカブランド銘は2011年より変更になりました。そのため テストリポート内のレンズ銘をナシカから超望遠ズームレンズに改めました。仕様、性能は同一です。(2011.5.27)

作例

画像をクリックすると1280×853サイズの拡大画像が出ます。
さらに大きな画像はその下の文字をクリックすると出ます。

シャッター速度、感度等については拡大画像のEXIFをご参照ください。


VARI60SA570〜1000mm 900mm相当(EOS5D)
大気のゆらぎの影響がでています。 等倍サイズ4368×2912はこちら
VARI60SA570〜1000mm 900mm相当撮影(EOS5D)
等倍サイズ4368×2912はこちら


8000SA 420〜800mm 800mm相当(EOS5D)
サイズ2400×1600はこちら
VARI60SA570〜1000mm(EOS30D)
サイズ2400×1600はこちら


VARI60SA570〜1000mm+2倍テレコン(EOS30D)
サイズ2400×1600はこちら
VARI60SA570〜1000mm+2倍テレコン(EOS30D)
サイズ2400×1600はこちら


VARI60SA570〜1000mm 900mm相当(EOS5D)
サイズ2400×1600はこちら
8000SA 420〜800mm 700mm相当(EOS30D)
サイズ2400×1600はこちら


VARI60SA570〜1000mm 1000mm相当(EOS5D)
サイズ2400×1600はこちら


写真と内容について
個人的な試写の結果であって複数のサンプルで詳細テストをしているわけではありません。 記載内容に誤りがありましたら恐れ入りますがご連絡ください。




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